腹部超音波検査をご希望の方は随時検査を行っております。頸動脈・甲状腺・心臓・婦人科・泌尿器科等の超音波検査は、完全予約制となりますので、ご希望の方は事前にご予約の上、ご来院ください。
超音波(エコー)検査とは
人間の耳には聞こえない音である超音波を使って内臓や血液の流れなどの状態を確認する検査です。検査は、皮膚にゼリーを塗って、超音波探触子であるプローブを軽く当てるだけです。人体に悪影響を与えない検査であり、妊娠中の赤ちゃんの状態を調べるためにも使われ、安全性の高い検査です。痛みや不快感などもありません。そのため、繰り返し、じっくり調べることができ、リアルタイムの動きや状態を把握することもできます。使用するゼリーも簡単に拭き取ることができ、刺激がないため幅広い方が検査を受けられます。
骨や空気を透過できないため、検査に不向きな場所もありますが、検査が有効な場所であれば5~15分という短時間に詳細な情報を得られます。
お腹の中の肝臓、胆道、膵臓、腎臓といった臓器全般から、心臓や血管、乳腺、甲状腺など、肺や気体(ガス)のある部分と骨の奥以外など、幅広く検査をすることが可能です
超音波検査のメリット
- 動いている状態の内臓や血液の流れなどを確認できます
- 痛みや苦痛、不快感がほとんどありません
- 検査中に医師や技師と普通に会話できます
- 被ばくの心配がなく、安全性が高いので、妊娠している方、乳幼児も安心して受けられます
- 検査で得た画像を保存してコンピュータによる管理を行うため、以前の検査画像を参照した比較も簡単にできます
腹部エコー
肝臓、膵臓、腎臓、胆のう、脾臓、膀胱、前立腺、卵巣、腹部大動脈といった腹部の状態を確認するために行う検査です。腹痛がある時でも負担なく短時間に検査できます。がんなど腫瘍の有無、肝臓の脂肪肝、膵臓の炎症、胆のうの炎症や胆石、ポリープ、腎臓や前立腺などを調べるために使われます。健康診断で肝臓が悪いと指摘を受けて受診された方には、まずこの検査を行っています。
腹部エコーでわかること
肝臓 | 肝臓癌、脂肪肝、肝炎、肝硬変など |
---|---|
胆のう | 胆のう癌、胆のうポリープ、結石など |
膵臓 | 膵臓癌、膵炎など |
腎臓 | 腎臓癌、腎結石、腎炎など |
脾臓 | 脾腫など |
腹部大動脈 | 動脈瘤など |
膀胱 | 膀胱癌、膀胱炎など |
前立腺 | 前立腺肥大など |
このような方にお勧め
- 血液検査異常(肝機能、脂質、その他)があった方
- 尿検査異常(尿潜血、尿タンパク)があった方
- 腹部の痛み、違和感がある方(みぞおち、背中、腰、下腹部の痛み)
- 夜間に何度かトイレに起きる(頻尿)など、前立腺に不安がある方
腹部大動脈エコー
腹部エコー検査に含まれ、腹部大動脈瘤の有無を確認する検査です。
腹部大動脈瘤とは
横隔膜から下の腹部大動脈にかけて瘤ができた状態です。動脈硬化などにより瘤が形成され、大きくなるにつれ破裂する可能性があるため手術が必要になります。急速に拡大している場合は、小さい段階での手術が必要になるケースもあります。自覚症状に乏しいので、定期的にエコー検査を受けることが大切です。
このような方にお勧め
- 腹部の拍動感、お腹の張り、腰痛がある方
前立腺エコー検査
腹部エコー検査に含まれ、前立腺の体積を計測し、前立腺肥大症の度合いを調べる検査です。前立腺癌の確定診断はできません。
前立腺肥大症とは
前立腺は加齢とともに肥大していく傾向があります。50歳ごろから肥大が始まり、80歳以上の方では、おおよそ90%以上の方が前立腺肥大症と言われております。必ずしも治療が必要というわけではなく、約1/4の方に症状が現れると言われています。
このような方にお勧め
- 頻尿、排尿困難、残尿感などの症状がある方
心エコー
心臓の動きや血液の流れを把握できます。心不全を起こす心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症、心臓肥大などの診断に有効な検査です。心電図でわかる心房細動は、高齢者に最も多い不整脈ですが、その場合にも梗塞を起こす血栓の発見に有用です。また、不整脈の原因を調べるために、また心臓周辺に水がたまる心のう液の有無を調べるためにも使われます。
心エコーでわかること
- 弁膜症
- 心拡大
- 心不全
- 心筋梗塞
- 先天性の心臓病
など
このような方にお勧め
- 高血圧や肥満傾向がある方
- 息切れやむくみの症状がある方
- 動悸の症状がある方
- 心雑音を指摘された方
頸動脈エコー
頸動脈は首にある太い動脈で、脳・鼻・耳・目などに血液を運んでいます。脳に血液を運ぶのは内頚動脈です。動脈硬化によって頸動脈に狭窄が起こってるかどうかをこの検査で調べることができます。首にプローブを当てるだけで、頸動脈にプラークというカスがどのくらい付着しているかがわかり、脳梗塞などのリスクを知ることができます。
頸動脈エコーで、プラークの輝度が周囲に比べて高い、あるいは同等のものは、ちぎれて脳に運ばれる可能性が低いのですが、そうではない場合はちぎれやすく、脳梗塞のリスクが高いと判断できます。
リスクに応じて投薬などの方針決定に役立てていきます。
動脈硬化とは
動脈硬化は「動脈が硬くなる」ことです。動脈が硬くなると、その特性であるしなやかさが失われるため、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などのリスクが高まります。
動脈硬化が進行すると、プラークができやすくなり、プラークにより血管を狭くなったり、血管が詰まってしまうこともありますので、注意が必要です。
頸動脈エコーでは、特に脳梗塞の危険性を事前に知る事ができます。
頸動脈エコーでわかること
- 動脈硬化の進行度合い
- 頸動脈のつまり具合
- プラーク(脳梗塞の原因)の有無
このような方にお勧め
- 糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症など)といった動脈硬化を進行させやすい生活習慣病のある方
- 脳卒中になったことがある方
- 意識消失を起こした経験がある方
- めまいがある方
甲状腺エコー
甲状腺エコーでわかること
甲状腺の病気は大きくホルモン異常と腫瘍の二つに分類されます。
- ホルモン異常
バセドウ病(甲状腺機能亢進)、橋本病(甲状腺機能低下)など - 腫瘍
- 良性腫瘍:腺腫様結節、腺腫様甲状腺腫など
- 悪性腫瘍:甲状腺癌
このような方にお勧め
- 前頚部が腫れている方
- 甲状腺機能異常(血液検査)を認める場合
- 他の画像診断で甲状腺に異常を認める場合
- 食欲低下、体重減少、発汗、イライラ感などの症状がある方(バセドウ病)
- むくみ、体重増加、寒がり、無気力などの症状がある方(橋本病)
下肢動脈・静脈エコー
下肢動脈・静脈エコーでわかること
- 下肢動脈のつまり具合(閉塞性動脈硬化症)
- 下肢静脈の流れが滞りや逆流がないか(下肢静脈瘤)
- 下肢静脈内血栓の有無(深部静脈血栓症)
閉塞性動脈硬化症とは
足の血管の動脈硬化が進み、血管が細くなったり、つまったりして充分な血流が保てなくなる病気です。そのため、血液の流れが悪くなり、歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じます。歩行時に足に痛くなって歩けなくなり、少し休むことで再び歩けるようになる間欠性跛行という症状が特徴の病気です。
深部静脈血栓症とは
足の静脈に血栓ができてしまう病気です。血栓で血管が完全に詰まってしまうと、血液が流れなくなり、血液がたまって下肢が腫れます。血栓が何らかの原因で血管の壁からはがれて血流にのり、肺の動脈に詰まると胸の痛みや苦しさが出たりします。エコノミークラス症候群も含まれます。
このような方にお勧め
- 足のしびれ、痛み、冷感、熱感がある方
- 足がつりやすい方
- 足のむくみ、だるさのある方
- 歩行時の痛みが強く、休憩なしで長い距離を歩けない方
- CAVI/ABI(動脈硬化の検査)で異常を認めた方
乳腺エコー
乳腺内を観察し、しこりや嚢胞、乳管拡張などを調べます。乳がんの検査としても有効です。
乳腺エコーでわかること
- 乳腺内しこりの有無(乳がん・その他の良性腫瘍)
- 乳腺炎の有無
乳がんのリスクが高い方
- 閉経後の肥満
- 喫煙
- 初経年齢が早い
- 閉経年齢が遅い
- 出産経験が少ない、授乳歴がない(短い)
- 乳癌家族歴
早期発見の重要性
乳がんは、発見時の大きさが小さい程死亡の確率が低くなるため、早期発見が大切です。早期の段階で発見できれば、手術時に乳房を温存でき、今までと同様の生活も続けることができます。