ドクターズコラム

2016.10.26

血小板の話 ~特発性血小板減少性紫斑病~

怪我したときに出血しますが、自然に血は止まりますよね?この傷ついた血管に最初にフタのようにペタペタと張り付いて止血してくれているのが「血小板」です。血小板数は正常では約15万~35万/μLです(検査会社によっても多少正常値は異なります)。kessyouban血小板が減少すると、当然出血が止まりにくくなります。健康な人がある日何の前触れも無く血小板が減ってしまう病気に、特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenic purpura、以下ITPと略します)があります。

最近ぶつけた覚えはないのにやたら「あざ」ができる。脛(スネ、いわゆる弁慶の泣き所)に赤いぶつぶつみたいな小さな斑点ができる。月経量が多くなって、長い。歯肉から血が出やすい、などの出血症状で気づかれることが多いです。医療機関で検査すると、白血球や赤血球は正常なのに、血小板だけ極度に減っている(10万/μL以下)というときに、ITPを含めた血液の病気が疑われます。精密検査で他の病気が否定されると、ITPの診断となります。血小板数が1万/μLを切ると、脳出血や消化管出血など命に関わる状態も引き起こしてきます。

この病気の方は日本に約2万人いらっしゃって、年間3000人位が新たに発症しています。発症のピークは20~40歳台の若年女性と、高齢者(60~80台、男女差なし)なので、若い女性でも自分は大丈夫、と過信せずに、疑わしい症状があったら、医療機関を受診して下さい。

原因は不明(=特発性)ですが、中には胃・十二指腸潰瘍などの原因となるピロリ菌の感染が原因となっている人もおり、ピロリ菌陽性の人では除菌することで約6割の人で血小板数が5万/μL以上に増え、約2割の人で正常化します。その他にステロイド治療や、脾臓摘出手術、トロンボポエチン受容体作動薬(注射・経口剤)といった色々な治療方法があります。
また、この病気と診断されて中等症以上であれば、医療費の補助のある難病にあたりますので、治療が長引くことの不安も解消されるかと思います。

内科・血液内科
専門医 西村倫子
診療担当時間 火曜日9時30分~12時30分

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